つれづれの続き


先日は、モーツァルトを聴きながら書きましたが、

今日は、なぜか鬼束ちひろさんのInfectionが、起きた時に頭の中で鳴ってきたので、ちひろさんのメドレーを朝から聴いている。

ここのところ、女性の歌を好んで聴いている。

中島みゆきさんの曲とか、何十年も前に流行ったような曲なども、いまの若手のカバーなんかで。

あまり歌手のことはよく知らない。声と情感で選んでいるようなところがあるけれども、

むしろ、これまで無視しがちだった歌詞に惹かれる。


これは、自分にとっては、発見だった。

ストーンズが好きだった(今でもそうだけれど)のは、曲調とかミックの歌い方とかストーンズの曲作りがピッタリ自分の感性に合ったからで、

ミックには申し訳ないが、歌詞の方は全くと言って良いほどに無頓着。

器楽曲を聴くのと殆ど変わりが無い。

U2にしてもボノの声が好きだったり、全体の曲調の問題だった。

それは、自分に聞く耳(気持ち)が無かったからだ。

というのも、若い時から、私は傲慢に、自分の人生について他人に助言を求める気はなかったし、極論すれば、同情も欲しくなかった。

いつも、自分は自分、他人とは違う、っていう気持ちがあった。

どうしてだろう?

実は、私はごくフツーの平凡な人間であることを知っている。

でも、自分のプライドを保つために、他人と同じことを恐れてきた

画家にとって、平凡というのは呪いの言葉だ。

芸大生の時に、油絵科の助手に自分の描いた絵についてそう言われた時にもの凄く傷ついた瞬間を、今でもよく覚えている。

実際に、そのとおりであって、それがあたっていることを自分でもわかっていたからこそ、ショックを受けたのだろう。

「個性」という呪縛はあまりに強くて、それがために描く方法、というよりも描く目的を見失い、結局、画家を断念した。

何故、開き直れなかったのだろう。平凡で何が悪い?人と同じで何がいけないのだ?

自分の価値は、他人と違うところにあるのか? それは、商品価値にしか過ぎないのじゃないのか?

自分の好きなように描き、正直に生き、当たり前に悲しむことが、どうして悪かろう?

ディレッタントになると言うことは、やめた当時、自由に生きることを自分にとっては意味していた。本当は違うよね。


去年、コブクロのある曲を聴いて、「えっ?!」って思った。

自分の過去の経験と気持ちが、ピタリと表されていた。それが、コブチさんが20代頃の詩だと知って驚き、黒田さんの歌いっぷりが気に入った。

それから、自分が顧みなかった歌謡曲というかポップスを少し聴くようになった。

それでも。歌詞をじっくり聴いているわけでもないんだけど。


で、思うのだけれども、どうも、自分の内面を探索することは女性の方が長けているんじゃないだろうか。

やるせないんだけれど、だいたい愛に破れ傷ついた曲が多いのだけれども、それは、老年の自分には当然に思える。

自分と全く同じであるはずはない。むしろ、それらの曲、詩の中に、自分の中につけられた無数の傷の中の一筋が共鳴して疼くものがある。

その痛みが、むしろ心地よい。


年を取ると、苦みや辛みが、むしろ料理に欲しいというか、好ましかったりするじゃないですか?

子供の時に、大人はなんであんな苦い、へんな味のものを好んで食べるのだろうと不思議に思っていたけれど、

年を取ると好みが変わるというより、苦さや辛さの中に、食材の本来の「味」があるように思えたりするんじゃないだろうか。

言葉の付かない曲が好ましいのは、言葉によって、自分なりの鑑賞が妨げられたりすることがないからなのだけれど、


実際、ベートーベンの最後のカルテットやブルックナーの交響曲は無限に多くのことを語りかけてくれるのだけれども、

女性がしっとりと歌う日本語の詩の中には、忘れていた感情を優しく、あるいは切なく呼び起こしてくれるものがある。

まるで、31文字の和歌のように。それは、日常性の中でのひとこまだったり、ふと目にした自然の断片だったり、心の砕けた破片のひとつだったり。

で、疲労気味の閑日には後者の方が好ましかったりするんですね。

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そういえば、新型コロナ・ウイルス感染の関係で、社会人講座は夏の予定まで中止になってしまいました。残念。

大学の方は、月末から開始するようですが、対面ではなくて、Webを通してです。うまくいくかどうかちょっと不安。

学生さんたちには本当に気の毒な状況が続いているけれど、めげずに前向きに、というのは自分にとってプラスの時間を作っていって欲しい。

いろいろと思索するには好機だと思うし.....。

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